波瀾万丈高校生

〜きらめき〜

第十話・近衛高校精鋭部隊

 

 

「え??ゆきさんかえってるの??」

「そ。昨日帰ってきたばっか。」

「久しぶりだな〜〜やっぱり綺麗なんだろな・・・。」

そしてリビングへ入ると、有紀ねえとおばさんが談笑をしていた。

「あ、詩織!!有紀ちゃん帰ったのよ!!」

「よ!詩織ちゃん!相変わらず美人だね〜〜!」

さっきまで疲れた様な顔をしていた詩織だが、ぱっと顔をいつもの笑顔に切り替えた。

「有紀さん!お久しぶり!!元気だった??」

「勿論よ!!あ、これ、詩織ちゃんにおみやげね。」

そういって、有紀ねえは大阪で集めた小物や雑誌などを渡した。

「こんなにもらっていいの??」

「いいよ、あたしのファッションを見てもっと美人になってネ!」

なんじゃそら、「あたしのファッション」だって。まぁ、モデルだったからおかしくはないけど。

「それにしても大人っぽくなって〜。義積よりもしっかりしてそう!あ、それは昔からか。」

「何言ってんだよ。俺は昔からしっかりしてます。」

「へ〜そう??詩織ちゃんのために栗とって、頭にささって泣いてたあんたが??へ〜そうなんだ。」

「う、うるさいな。だから、あん時は痛かったんだよ、本気で!!」

そんな懐かしい話も交えながら談笑に華を咲かせた。みんな、久しぶりの有紀ねえとの会話が本当に楽しいんだな。俺も楽しいし。

その日は、おじさんの帰りを待って夕飯をご馳走になった。おじさん何か、有紀ねえの前で緊張なんかしてたな。

 

楽しかった日の次は、きついきつい練習試合が待ってた。しかもその相手が、最近実力をつけ始めている近衛高校。

「う〜ん、いやだな・・・ちょっと憂鬱だなぁ・・・。」

朝7時起床。眠い目をこすりながら階下へ降りる。姉貴はまだ寝ているようだ。

「ん〜〜テレビつけるか。」

朝のニュース番組をつける。すると、地元のニュースが流れる。

「次です。きらめき市で行われた高校吹奏楽大会で、末賀高校が金賞をとりました。また、末賀高校の1年宗像さんが最優秀奏者として受賞されました。」

「ふ〜ん、宗像さん、相変わらずすごいな・・・。」

あれから相変わらず練習を一緒にしている。間近でこんなすごい人の演奏を聞いてるんだな・・・。

「あ、やべ、卵焦げる。」

 

宗像さんのうれしいニュースに心躍らせながら、練習へと赴いた。すると、すでに近衛高校が来ていた。

「げ、早すぎるだろ??まだ30分あるぞ・・・。」

だが、よく見ると近衛高校の幹部らしい。きらめきのキャプテン達と話をしていた。

「今日はよろしく頼みます。3年生は大会の調整のために参加してませんが、全力で試合に尽くしますので。」

「こちらこそ。全国区のレベルを部員に体験させるイイチャンスだからな。」

「では、また後ほど。」

ふ〜ん、近衛高校は3年なしか。うちは確かAとBのランク上位者が出るんだったな。そういやBのランキングまだ発表されてないな・・・。俺が出てたりして。

「よう、おはようさん。」

「おう矢神。近衛は2年と1年らしいな。」

「あぁ。まぁ全国レベルじゃ当たり前だろう。うちはまだ誰がでるかわからんけどな。」

「あ〜出たいな〜出来ればラストででもいいから。」

そういうと矢神はふっと笑った。

「大丈夫だよ。お前、最近頑張ってるからな。入れるんじゃないのか??」

「よせよ、無駄に期待が膨らむだろ。」

試合まで後20分。おれたちは部室に行き、テニスウェアに着替えコートでその時を待機した。

20分後、きらめきの全メンバーが発表された。

 シングルス1ー向田 隆(3年)

 シングルス2ー柳 洋介(3年)

 シングルス3ー金谷一徹(2年)

 シングルス4ー矢神健太郎(1年)

 シングルス5ー依田 篤(2年)

 シングルス6ー平 義積(1年)

 ダブルス1ー柳 庸平(2年) 金谷一徹(2年)

 ダブルス2ー鹿賀 弘(2年) 橘  令(1年)

 ダブルス3ー由良幸介(3年) 由良公房(2年)

練習試合ということで、通常よりも多くの選手が出場することになっている。その中に、俺がいた!!シングルスラストだが、それでも2年生や3年生を抑えて俺が!!

「今回の練習試合はAとBの上位を選出してある。試合に出れなかったものも、精いっぱい応援するように。なお、今回選出した選手のAチームのもので、試合内容があまり芳しくなかったものは、Bに落とす。BでよかったものはAにあげるからそのつもりで。」

そこ言葉に選出メンバーがざわめく。無論、俺もそうだ。俺がこの試合で好成績を残せば・・・・矢神と並ぶ。

「では、ダブルスから始める。気をぬくな!」

「オウ!!!」

この日は男子だけが練習試合。女子は休みなのだが、多くの女子が駆けつけている。元々練習試合はお互い見合ってるのだが、今回はちょっと訳が違う。

「向田キャプテン〜!!ファイト!!」

「矢神く〜ん!!がんばれ〜〜!!」

「由良さん!!がんばって!!」

まあうちの部はアイドル集団か?というくらいの美男子が大勢いる。特に向田キャプテンの人気は、練習試合で他校生も来るくらいだ。ファンは遠くは大門から来る子もいるらしい。

「あの、平さん。」

部室へ予備のラケットを取りにいこうとすると、古式さんに呼ばれた。

「試合、頑張ってくださいね!陰ながら応援しております。」

「うん、ありがとう。相手は全国区だけど、全力尽くすよ。」

「では、私はあちらで応援しておりますので。」

そういって女子テニス部員の方へ走っていった。古式さんが応援しているんだ。恥ずかしくないような試合にしないとな。

 

 

恥ずかしくないような試合にする、と決めたのだが、ダブルスの成績をみて大丈夫か??と思うようになってきた。

ダブルス3以外は全敗。しかもストレート。ダブルス3の由良兄弟は逆にストレート勝ちを喫している。見事なチームワークだ。

次はシングルス6,つまり、俺だ。

「うし、頑張るか!!」

気合いをいれ、コートにはいる。相手を見ると、体格的には俺の方が勝っているか。

「では、これよりシングルス6の試合を始めます。きらめき、平義積1年。近衛、獅子浦匠1年。」

相手も1年か。これは負けられないな。

「よろしく、平君。」

「こちらこそ、獅子浦君。」

握手をすると、思ったより握力はない。う〜ん、一体何が武器なのか、まだわからない。

サーブを2回ずつうち、俺が先攻をとった。

「プレイ!!」

よし、まずはどんなレシーブするかみてみるか。俺はファーストを打たずに普段セカンドで打つスライスをスピードをつけて打った。

ボールは難なくサービスコートに入り、相手は返球姿勢に入る。さぁ、どう打つ??構えていると、バック側に打ち込んできた。

(これくらいか。普通に打ち返すか。)

そう判断し、打ち返す。が、獅子浦はすでに前へ詰めており、綺麗な線を残しボレーを決める。

「エース!!ラブフィフティーン!!」

速い・・・のか??だが、あのボレーはダブルス向きな様なきもするが。

(次は、こいつでいこう)

普段のファーストを打つ。スピード重視で、回転は少々スピン。見たことのない人なら1発目は打てない球。だが・・・

ガッ!!

見事打ち返す。そこは俺が得意とするエリア。

(よし、この次できめるか)

1発強めを打つ。そしてスマッシュをかました。

ドゴ!!!

予定通りに球を運べた。が、予想外のことが。なんと、相手はその球をそっくりそのまま返してきた。

「ちっ!!」

この回の球は意外に続いた。こいつは、地味ながらも実力のあるタイプだな。派手さは全くない。だが、泥臭い試合を得意とする相手のミスをさそうテニスをするタイプだ。

(なら、こっちがくずしゃいい話)

相手のリズムを崩せばこっちに流れはいくはず。相手のサーブにうつったゲーム。ここからが正念場だ。1ゲーム目は惜しくもとられたものの、ここからいく。

(さぁ、どっからでもこいこい!!)

獅子浦がボールをあげ、打つ!!

ヒュン

スピードは、お世辞にもない。

(うち損じか??)

弾道をみ、捕球体勢に入る。ボールはしかし、予想以上に大きくカーブした。

(ちっ、そっちか!!)

急いでボールに手を伸ばす。何とか返すことができた。が・・・

ガン!!

俺の球はむなしく沈められた。近衛サイドがおおいにわく。

「ショウ!!ショウ!!ショウ!!」

俺は気持ちを落ち着かせるために、ラケットのガットを直す。

(とにかく、あいつはサーブとボレーに気をつければ、スピードはないし。)

冷静な判断だと思った。無論、俺の分析に狂いはなかった。事実、俺はそのゲームをぎりぎりながらもとった。だが、その次から奴が変わった。ラケットを変えた。

(何でこんなタイミングで??)

ガットが切れたようにみえない。ただの気分転換だろう、と思っていた。が・・・

「ゲームセット!!3−6で近衛、獅子浦の勝ち!!」

結局俺がとったのは最初のゲームで、後は全く手が出なかった。スピードは多少は上がった。だが、それ以上にテンポが異常だった。普通のラリーの半分の時間で、ボールが返される。そして、大きく変化するサーブ。わかっているのに手が出せなかった。

「おもしろかったよ。平君。」

「なぁ、いっこ聞いていいか??」

「ん??何??」

「何で・・・何であの時ラケット変えたんだ???」

俺の問いに獅子浦は笑いながら答える。

「あ〜あれね。いや、新しく買ったラケット重くてさ。やっぱり今までのに変えようと思ったからだよ。」

「それだけで・・・か。」

「うん??どうしたの??」

そんなラケットに差はないが・・・気持ち的なものもあるのだろう。

「いや、またお前とやりたいな、と思った。今度は絶対負けないからな!」

「こっちだって!!今度あうときは、メンバーとしてだからな!!」

こうして俺の試合は終わった。負けたが、不思議と悔しさなどない。新たなライバルに出会えた事の方がうれしかった。

 

総合的な結果をみると、やはり近衛の方が強かった。シングルスはキャプテンと金谷さん以外は負けてしまった。矢神は競りにセって負けてしまった。まぁ相手が調整中の正メンバーだからな。仕方無いといえば仕方ない。今日一番の接戦だったろう。

「今日はありがとうございました。これからもお互いに切磋琢磨して、いい試合が出来るようにしましょう。」

「こちらこそ。貴重な時間を割いてありがとうございました。」

近衛高校の生徒が全員で礼をする。それをきらめきは拍手で返す。

「では、失礼します。」

帰り際、獅子浦と目が合った。

「またな、獅子浦。」

「あぁ、平、今度は公式大会でやりたいよ。」

「言ってくれるぜ。待ってろ。」

そう言って、獅子浦はきらめきを後にした。近衛高校生徒がさったきらめきテニスコート。後は、A,Bチームの移動が残っただけだ。試合にでた俺も、勿論関係している。俺的には結構やったほうだとおもう。が、どうだろうか・・・ほかの人達も善戦したからなぁ。

「では、幹部会議によって決まった移動を発表する。まず、AからBへは、依田。」

依田さんか・・・確かに今日の依田さんはらしくなかった。なんつうか、自分のミスで沈んだ感じだ。

「次に、昇格は・・・平。」

俺か・・・俺か?!

「来週の練習から変わってもらう。以上だ。解散!!」

「ウス!!」

俺が、俺が?!嘘だろ・・・!!

「やったなぁ!!おい!やったぜ、平!!」

「矢神〜!!!俺、本当にやったのか?!」

「当たり前だ!!やったぜ!!今日はお祝いだな!」

まだ信じられないな・・・俺は、認められたんだ・・・

「あ、古式さん!」

「平さん、おめでとうございます。A組に昇格なさったそうで。」

「う、うん。ありがとう。まだ信じられないよ。」

「あんた〜認められたんだから!しゃきっとしなよ!!」

海原さんも俺を祝福してくれる。なんてこった、周りの人の多くが俺を。その上、落ちてしまった依田さんまで。

「平、お前なら定着も出来るはずだ。頑張れよ。」

「依田さん・・・依田さんも、頑張って戻ってください。」

「ふ、そうだな。俺は、まぁまだ2年だしな。お前を打ち倒して戻ることにするよ。」

いつもの依田さんらしさを取り戻していた。試合の時は冷静さを失っていたが。

「よ〜し!今日はお前のために騒ぐぞ!!集まる奴は、5時にきらめき駅だ!!」

「お〜!!」

 

家に帰って早速姉貴に伝えようとした。が、なぜかこの日はいなかった。机の上にメモを残してあった。

『義積へ。今日は友達とご飯いってきますので、何か適当に食べておいて。それか詩織ちゃんとこでもごちそうになりな。ではでは。姉』

なんだ、外いってんのか。じゃぁ言う必要ないな。俺は、部屋にいき荷物を置いて、まだ時間があったのでシャワーを浴びてから出ることにした。シャワーを浴び終わって着替えている時、携帯が鳴った。

「だれだ・・・何だ好雄か。・・・もしもし??」

「よぉ、今日なんか打ち上げあるらしいな。」

「え?!何でお前が知ってる?」

「ま、俺の情報網にかかりゃこんなもの・・・ていいんだが、俺もいかせてもらうぜ。」

「あぁ、別に構わないけど。一体どこで??」

「それは秘密だ。じゃぁな。」

一体、あいつはどこで情報を仕入れているんだよ。謎な奴だな。ま、いいか。時計に目をやると4時40分。そろそろ行くか。

家を出ると、ちょうど詩織が帰ってきたとこだった。

「詩織!!」

俺の声に詩織は振り向く。

「クラブの帰りか??」

「うん。ヨッシは??」

「これからクラブの奴と打ち上げ。しかも俺が主役。」

「え〜?!何したの??」

「へへ、ちょっといいこと。帰ったら教えてやるよ。」

そう言って俺は足早に待ち合わせ場所へ向かった。

 

きらめき駅には総勢10人ほど集まっていた。

「お〜平!!あと4人ほどくるぞ!」

「平君おめでとう!!矢神君に続いて1年のAね!!」

「あ、ありがとう。」

そんなことを話していると、矢神のいっていた4人が来た。

「よし、じゃぁカラオケでも行くか!!」

「お〜!!!」

カラオケ屋にいき、やたらに広い部屋にはいった。いやいや、こんな広い部屋には入ったことないぞ。

「よし、じゃぁまず今日の主役の平に歌ってもらおう。」

「いよぉ〜!!待ってました!!社長!!」

お、俺からか??う〜ん、最近の曲ってしらないからなぁ・・・何歌っていいのかわからないなぁ・・・

「C'zの歌歌ってよ、平君!」

「え??C'z??」

「うん!!海原の姉さん好きだしさ!」

それを聞いた海原さんが顔をあげる。

「何〜?何かいった??」

「平君が、C'z歌うっていってますよ!!」

俺が??俺は何にも言ってないんすけど・・・だけど、海原さんはすっかりその気だ。

「まじ?!じゃあ、これ歌ってよ!!あ、これでもいいよ!!それか・・・」

 

結局俺は周りからの後押し(特に海原さん)でC'zを3曲も歌うことになった。まぁ受けがヨカッタからいいけど。みんなわいわいと楽しそうだ。好雄は相も変わらず女の子にべったりとひっつき、情報を引きだそうとしている。そんな中を俺はそっと抜け出し電話をかける。

「・・・・あ、もしもし??」

「もしもし??」

「今大丈夫かな??」

「うん、大丈夫だよ。」

「実はさ・・・・・・てなことが今日あったんだ。」

「えぇ?!本当!!すごいじゃない!!」

「うん、自分でも信じられないくらい。」

「これから頑張らないとね!!応援してるよ!!」

「ありがとう。じゃぁ、俺もう戻るわ。またね。」

「うん、またね!」

いつも電話するとき緊張する。宗像さんには絶対に伝えたかった。そして俺はまた部屋に戻り、どんちゃん騒ぎに参加した。そして始まって3時間、長いようで短い打ち上げは終了した。

「平、これから頑張ろうな!!」

「おう、色々よろしくな!!」

「平君〜!!頑張ってね!!私、平君応援してるから!!」

「あ、真子ずるい!私も応援してるよ!!」

う〜ん、今日の活躍で俺の人気もあがったかな??

「何よ、えらくうれしそうじゃないの。」

「え??そんなことないすよ。」

「そう〜??ゆかりは今日はずっと矢神君にとられっぱなしだけど〜??」

古式さんのほうをみると、矢神と話している。そういえば部屋でも矢神はずっと古式さんの横に座ってたなあ。

「そうっすね、でも矢神は古式さんに気があるからいいんじゃないすか??」

「負け惜しみ〜??いいの〜??」

「いい、とかじゃないすけどね。ま、矢神とだったら俺はだめだな〜。」

手を頭においてそういうと、ぼそっと海原さんが何かいった。

「そんなことないんだけどな。」

「え??何か言ったすか??」

「ううん、今日はとにかくおめでとう!!」

海原はそういって古式さんの元へいった。

「さ、今日はこのへんでお開きにしよう!!」

なぜか好雄が音頭をとっている。

「じゃ、解散!!」

 

いやいや、それにしても昇格できてよかった。実力が認められた訳だし、それに女の子の人気もあがったようだし。海原さんはさっきなんて言ったんだろう。そんなことより、俺、まだ飯くってないなぁ。何か家にあるかな??適当に食うか。家に入ってリビングのソファーに座る。あ、そういえば姉貴がいない家って久しぶりかも。う〜ん、やっぱり一人だと静かでどこか寂しいもんだな。食うものを探したが、特になかったのでコンビニまで出向いて弁当を食べ、その日は布団へ潜り込んだ。

続く。


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